医薬分業と薬剤師の役割

医薬分業とは、病院や診療所で医師から診察を受けた後、お薬をもらう代わりに処方せんを提供し、薬剤師が処方せんに従って薬を患者さんに提供する役割分担制度です。

処方せんには、お薬の種類や使い方などが記載されており、薬局にて薬の量や飲み合わせを薬剤師がチェックしたうえで、処方せんと引き換えに薬の説明をしながら患者さんにお薬を渡します。

現在の医療は高度化・機能化が進んで様々な専門分野に分かれており、それぞれの専門家が協力し合って質の高い医療を提供する仕組みが構築されています。

薬剤師に関しては、薬を管理し、医師の処方せんに従って適切な調剤を行い、患者さんに薬の説明する役割を担っています。

日本では、従来は院内処方が一般的でしたが、欧米諸国などの先進国では古くから医薬分業が行われており、医師が診察・治療に専念できる環境が整備されてきました。

医薬分業のメリット

医薬分業により、医師と薬剤師の役割分担が明確化することで、医師は診察に専念することが可能となります。

また、医師と薬剤師による処方せんのダブルチェックが行われると同時に、薬剤師は処方に疑問がある場合は解決するまで調剤ができないので、安全性が高まります。

そして、処方せんに沿って薬剤師がお薬の内容を詳しく説明してくれるため、患者自身が服用する薬の内容を把握することにもつながります。

さらに、患者は自由に薬局を選択できることから、「かかりつけの薬局」を持つことが可能で、薬以外の相談もすることが可能となります。

薬剤師のほうも、薬歴を一カ所で管理できることから、複数の医療機関にかかる患者には、薬の重複や飲み合わせ、副作用、アレルギーなどを予防することが可能になったメリットがあります。

医薬分業のデメリット・問題点

医薬分業の問題点としては、病院と薬局の2箇所に患者が行く必要があるため、手間が増えてしまうことです。

また、院外処方を推進するために、処方箋料、調剤基本料、調剤料などの点数計算体系を設定したため、院内で処方されるよりも若干ですが薬の負担額は高くなるデメリットが生じています。

さらに、処方せんを持って薬局に行くと、薬の在庫がなかったというケースもあるなど、医薬分業は患者にとって必ずしもメリットが享受できるとは限りません。

こうした背景から、患者の安全性や利便性の向上、適切な費用に合った医療サービスの提供などを踏まえて医業分業の見直しが公開ディスカッションなどで議論されています。

そして、政府の規制改革会議では、病院敷地内での薬局が開設可能とする解決策を答申に盛り込まれ、患者の負担削減への環境整備を整え始めています。

ページTOPへ