在宅医療における薬剤師の需要増

昨今の医療技術の発展および公的医療費の支出を抑えるために、入院日数は短縮傾向にあり、代わって在宅医療が進んできています。

在宅医療は、2013年において65,000名存在すると言われており、そのうち8割は高齢者が占めています。

しかし、薬剤師による在宅訪問は周知・理解不足や人材不足により、看護師や介護職のスタッフが薬の管理に携っていることが実態として多く、薬剤治療の安全性が危惧されていました。

最近では、こうした状況を打破するために、薬局に勤める薬剤師が在宅患者の訪問薬剤管理指導を行うケースが増加傾向にあり、薬剤師の新たな雇用の場として、今後更なるニーズの増加が期待されています。

在宅医療での薬剤師の主な役割は、薬の服用・管理が患者に委ねられているケースがあるので、適切な服用を行っているかを管理・指導することが重要となってきます。

また、薬剤師が付きっ切りで管理できないので、患者だけでなく介護スタッフや家族にも薬剤関連の教育を行い、連携して医療ケアを行う必要があります。

薬剤師の介入で残薬問題に貢献

ニュースでも話題になった高齢者の自宅から大量の残薬が残る事例が近年増加しています。

これは、種類の薬を処方されたにもかかわらず、飲み方が分からなかったり、高齢者には自己管理が難しいことが主な理由とされています。

日本薬剤師会は、2007年に薬剤師がケアを行う在宅患者812名の残薬調査を行ったところ、4割の患者に「飲み残し」「飲み忘れ」があったとされ、一か月で1一人当たり3220円分服用されていなかったことが分かりました。

これは、処方された薬代の24%にあたり、厚生労働省のまとめた75歳以上の患者の薬剤から推計すると、残薬は年間475億円となると言われています。

この状況から、残薬は薬剤師が介入して発見されることが多く、在宅医療患者に対して薬剤師が関与することが必要不可欠とされています。

在宅医療に転職する際のポイント

在宅医療に薬剤師が参加することで残薬問題の解決につながると言われており、今後、在宅医療に関する薬剤師の求人は増加すると予想されます。

薬剤師が在宅医療に従事する際に武器となってくる資格として、「在宅療養支援認定薬剤師」があります。

これは、2013年4月1日より施行された認定薬剤師制度の1つで、超高齢化社会のニーズに応えることを目的として、在宅医療に関する「知識」「技能」「態度」を備えた薬物療養を支える新たな薬剤師として活躍が期待されています。

また、在宅医療は常に接することは難しいため、情報収集や医師・看護師・介護スタッフとの連携が重要となっており、チーム医療に必要な協調性やコミュニケーション能力が要求されます。

在宅療養支援認定薬剤師

  • 【申請資格】

    1. 日本国の薬剤師資格を有し3年以上の薬剤師実務経験があること

  • 2. 剤師認定制度認証機構により認証された生涯研修認定制度による認定薬剤師、
    日本病院薬剤師会生涯研修認定薬剤師または日本医療薬学会認定薬剤師であること

  • 3. 所定の研修講座受講により35単位以上の研修単位を取得していること

  • 4. 在宅業務の実践による5事例の報告を提出すること

  • 5. 日本在宅薬学会主催の学術大会に参加していること

  • 6. バイタルサイン講習会を受講していること

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