6年制薬剤師誕生の理由

薬学部は、平成18年の学校教育法改正により、従来の4年制から6年制と変更になり、より高度な薬剤師の育成が重要視されています。

これは、現代の医療の発展による高度化と複雑化に伴い、薬剤師に求められる知識や技術が増大しており、責任や役割が日々増大していることが挙げられます。

また、これまでは臨床実習を受けること無く薬剤師になることも可能でしたが、昨今のチーム医療の重要性や医療事故防止の観点から、臨床研修の必要性が高まっていました。

こうしたことから、薬学教育の6年制が図られ、医療教育のさらなる充実と長期間の臨床研修が取り入れられた、質の高い薬剤師の養成がスタートしました。

6年制薬剤師と転職事情

平成24年度の薬剤師国家試験では、6年制課程初の合格者が誕生しており、4年制から移行後の空白期間に伴う薬剤師不足を補うために多くの求人が集まりました。

現在は、薬剤師不足の問題も地域差はあるものの落ち着いてきており、超売り手市場からは抜けています。

6年制薬剤師が誕生することで、転職市場に影響が出るのではないかと危惧されている他の薬剤師の人もいるのではないのでしょうか。

実際、「2015年問題」と言われるように、2012年に薬剤師資格を取得した6年制出身の人たちが、3年間の実務経験を積んだ2015年に転職活動を行うため、競争率が高くなると言われています。

これは、3年という職務経験は転職の1つのタイミングとして挙げられ、キャリアアップを図る人が多くいるからです。

6年制薬剤師が安定して輩出されてくると、採用側も新卒枠を多く設けていくので、その分、過年度採用の枠が減少していくことも予想されます。

6年制薬剤師の給与と待遇の変化

薬学部が4年制から6年制へ移行したことで、学費もその分高額化しており、私立大学の薬学部であれば約1300万円の学費が必要となっています。

しかし、6年制に移行したことにより、より高度な知識と実習経験を積んだ臨床に強い薬剤師として修士課程卒業者と同等の評価を行う企業も多くあります。

実際、6年制薬剤師は、修士課程卒業者と同等の給与水準を採用している企業が多く、4年制薬剤師よりも高い傾向があります。

日本病院薬剤師会によれば、4年制薬剤師の公務員の初任給は172,000円だったにもかかわらず、6年制薬剤師の初任給は208,000円に改定されているようです。

6年制薬剤師は、高度な知識を備えているだけでなく、長期間の臨床経験を積んだことからコミュニケーション能力が優れている人が多いと企業側から評価されています。

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